君に届け

今回の渡航で最大の難関は「荷物の輸送」
研究に必要な機材をよりすぐっても、計140cmの中型ダンボールが8個に。
国際郵便を使ってモーリタニアに送ろうとすると1個につき7万かかるらしい。
輸送費は全て自腹のため、どうしても必要なものだけ送ろうと思い、郵便局に行って詳しく聞いてみたら、
「お客様の送り先のモーリタニアですと、指定した住所に届けることができず最寄の郵便局止まりです」
だそうだ。

それでもいいのでお願いしますと伝え、係りの女性がしばらく調べてくれた結果、

「すみません。最寄の郵便局が分かりませんでした」

「あぁ そうですか。」
久しぶりに渾身の苦笑いをしました。

しかたなく、次の手を考え、航空会社の手荷物情報を調べてみた。
すると、同じサイズの荷物が1個2万円弱とかなり安価・安全・安心で持っていけることが発覚。
しかも、MAX10個まで。

己の作戦に酔いしれていたら、出発の一週間前になって1人3個までに減っちゃいました、と旅行会社から連絡がきた。
直前でほんと勘弁して欲しかったのだけど、パリの空港内にある宅配便会社に残りの5個を依頼すればなんとかなりそうだと、付け加えてもらったのでやむを得ず作戦変更していくことに。

23kgまでは無料なのだけど、それをオーバーして32kgまでなら一個につき100ドルの追加料金で済むので、
32kg級を3つ準備することに。

スペースをフルにつかい、尚且つ32kgギリに調節するのが予想以上に難しい。
ボクサーの減量はもっと大変なんだろうな。


「外国に荷物をダンボールを使って輸送する時は4角をガムテープで補強しとかないと、
ボロボロになるから気をつけて」
とドイツに留学していたK山さんからアドバイスをもらっていたのでがっつりと。

成田空港で荷物を渡す直前に、
「荷物の中にリチウムイオン電池は入っていませんか?」
受付の方に聞かれる。

たまたまポータブルの音楽スピーカーに使われているのを思い出し青ざめた。
厳重に補強したガムテープをハサミで泣く泣く切り裂く。

相撲取りの断髪式はもっと悲しいんだろうな。

どのダンボールに入れたかは、奇跡的にノートにメモってたので、全てのダンボールを空けずに済んだのがせめてもの救い。




結局、パリの空港で航空会社の方に残りの5つの荷物も持っていきたい旨を伝えると、協議の結果OKしてくれた。

今回の経験で分かったことは、

・荷物に何を入れたかをメモっておくこと。
・国によって入れてはいけないものが変わるので事前にチェックすること。

そして、時と場合によってはダンボールよりもスーツケースのほうが便利だということ。
自走できるし、開閉が可能だし。しかも、頑丈だし。
道理で人々がダンボールを持って歩き回らないわけだ。