Mission 1 バッタのホテル 

荷物を降ろしたり、テントの設営とかの準備を始める。
早くバッタ見に行きたいのだけど、手伝わないわけにはいかない。

「バッタ見に行きたいんだろ?ここはオレらに任せて行ってこいよ」
という感じの顔をティジャニがしたので、全てを託し、ライト片手に1人で辺りを徘徊してみた。
自分にできることをすることがチームプレイに繋がる。
今は、バッタを見ることが、自分のできる最高の仕事だ。

21時の時点で、30℃近くある。

野営地の側でさっそくサバクトビバッタ発見。

(見っけられる?成虫1匹、幼虫2匹いるよ)


ライトで照らすと数は少ないが、あちらこちらにちらりほらり。



「ようこそ!バッタワールドへ」



おー いるわ。いるわ。
脱皮してるやつも。

「アタシもこれで大人の女よ」



幼虫も結構いるぞ。
(バッタメモ:幼虫は他の個体が周りに少ない低密度条件下では、背景に似た体色をする)


(緑色型の幼虫)



こっちにも

(茶色型の幼虫)



そして、接近してようやく植物の危険さに気づく。
嫌がらせに近いトゲをもっさりとたくわえている。
なんつーおそろしい植物。
よっぽど食べられたくないんだろうな。
さっき刺さったトゲが手のひらにインしたままだ。
トゲ抜きを持ってくるのを忘れた。
この調査中はこのトゲと一緒にいるハメに。

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バッタを探しててある傾向に気づく。
ここいらには他の種類の植物もあるのに、なぜかバッタが見つかるのはこのデンジャラス植物と相場が決まっている。
この植物は葉っぱらしきものがほとんどないので、餌としてはそんなに良さそうには思えない。
もしかして、このデンジャラス植物をバッタはホテルとして利用しているのではないだろうか?
現に、撮影のためにバッタに近寄ると、バッタはこぞって植物の中に隠れようとしていた。
確かに、この植物にはちょっとやそっとぢゃ近寄れない。


バッタは夜に植物をシェルターとして利用している事実は文献で読んだことがあったが、
植物の種類までは言及されていなかったはず。



「バッタはデンジャラス植物をひいきのホテルとして利用しているのか?」

これはバッタが敵から身を守るための絶好の戦略とみた。
(たとえ他の研究者が報告してても、知識もなく、自分で気づけたことなのでOK)
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今回の調査は、時間が短いので、ただバッタを観察できればいいやと思っていたのだが、
ムラムラしてきた。


この状況はデータを採る絶好のチャンスとみた!
・幼虫と成虫の両方を一度に観察できる。
・幼虫が大きいので観察がしやすい。

成虫の身体を触ると少し柔らかいし、体表の傷が少ないので羽化したてだということが分かる。
そして、幼虫も成虫に続々となりかけているので、この一帯では「羽化ブーム」が起こっているとみた。
(バッタ博士レベルになれば、これくらいは当然推測できてよ)

こんなシチュエーションは今しか無いと判断。
やるならいましかない。


さぁ どうやってこの「ホテル仮説」をテストしたらいいのか。
初めてのフィールドワークでどうやってデータを採ればいいのか慣れていないので、考えなければならない。
こっからが腕の見せ所だ。


「コタロー ディナー」


よし。飯を食いながら何をするかを考えることに。
おぉぉ テント完成してるし。
お役に立てずにすみません。

本日の砂漠のディナー

(ヤギ肉のカレー。のびたスパゲティを添えて)

やるな。シェフ。

ティジャニもドライブお疲れ様。