「3m歩くと5匹のバッタ」前編

と、ミッションから帰ってきた職員が教えてくれた。


しかも、絶賛交尾中らしい。


バッタがいないと実験にならない。どうしてもバッタが大量に欲しい。
これはもう行くしかないっしょ。




ということで、緊急ミッションに行ってきました。
今回は、状況に応じてMAX一週間は寝泊まりできる装備を整え、いざ出発。
様子見なので、メンバーはドライバーのティジャニのみ。

これまで調査はモーリタニア北西部で集中的に行ってきたのだが、
今回は南下することに。


草原地帯や砂丘を疾走し、目的地に向かう。





やはり、暑い。ラクダも日陰で一休み。




草原のど真ん中に、樹木が生い茂っている地帯がある。
近くまで寄ってみたら、オアシスだった。



砂漠の友はオアシスと相場が決まっており、見たかったモノの一つだった。



旅の途中の方々がここで一服しており、是非とも乱入することに。
お茶をごちそうしてもらった。



晴天の下、木陰に隠れて草原を見ながらのお茶とはなんとも風流な。



一見キレイに見えるオアシス。


しかし、オアシスの周りは水を飲みに来た動物達の糞だらけで、水の中はボウフラだらけ。
一気にオアシスの憩いのイメージが打破された。


オアシス、くさ。




今日の格言
「水たまりをオアシスと呼ぶかどうかは人それぞれだ」



ちょっと周りを探索してみると、ブンブンと何やら無数の小昆虫が飛び交っている。
近寄ってみると、


ややや、これはマメハンミョウの仲間ではないか(多分)。

この昆虫は、成虫期はマメ科植物をメインに食すのだが、幼虫はバッタの卵塊を食べて育つというバッタと非常に密接な関係にあるのだ。
成虫は害虫で、幼虫は益虫というなんとも扱いが難しいポジションにいる。



草上や地面でもせわしなく動き回るマメハンミョウ。

日本では南九州大学の新谷准教授が日本産のマメハンミョウを研究なさっており、以前につくばのサンプルを送ったりと色々と話を伺ったことがあった。


成虫は体内に毒物質の「カンタリジン」を含んでおり、これは殺傷能力のかなり高い強力な毒らしい。
その昔、忍者はこの虫の毒を暗殺に用いたそうな。
(良い子は暗殺ごっこを企んではいけません)


じっくり観察すると、この虫はアカシアの木の幹をかじっている。
ん〜〜〜 何でもありなのか?


いずれにせよ、この虫が無数にいるということは、大量のバッタが近くにいたという手がかりだ。
バッタの発生地は近いとみた。


とりあえず、記念に乱獲しておく


オアシスを後にし、GPSを手掛かりに突き進む。


余談ではあるが、GPSはガーミン社のオレゴン550を使っている。

地図上で軌跡を記録でき、行きたいところを入力するとナビをしてくれるし、また来たいところも記録できる。道なきサハラ砂漠の道案内として重要なアイテムだ




しばらく行くとラクダが群れで休んでいる。
どら、のどかな風景でも写真に撮っておくかなと車を停め、撮影を始める。


するとラクダが一斉に立ち上がり、こっちに向かって突進してきた。


く、食われる。。



恐怖がよぎったのだが、ティジャニによるとラクダはエサをねだりにやってきたそうな。
いつもでかい車でエサをもらっているらしく、今回もエサをもらえるもんだと思って近寄ってきた。人が近づいていくとラクダは逃げるのだけど、車の場合は近寄ってくる。

いままでラクダの写真をなかなかうまく撮れなかったんだけど、
ラクダのドUPを写真で撮りたい時は、車から撮るに限る。


ラクダを後に、目的地に向けて疾走。

すると、フッとなにやら白いものが車をよぎった。


ヤツだ!ヤツがいたぞー!
車を停め、辺りを探索することに。




バッタが低密度の時は、人にびっくりして飛んだバッタを追っかけて採る戦法を用いる。
この戦法は、長距離を歩かなければならないことがたまに傷だ。




いたーーーーーー

とりあえず捕まえる。

サバクトビバッタのオス成虫だ。
失礼して、前翅をめくり、後ろ翅の色をチェックすると黄色い。
羽化したてのころは透明なのだが、性成熟すると黄色くなるのだ。


体の傷も少なく、比較的若めの個体とみた。

先の日程のことは忘れて、夢中になってグルグルとそこいらを回る。





せっかくの天気なので、今度はカメラ片手に記念撮影大会を開催することにした。


昆虫撮影する時に大切なことは、殺意を消し、自然と一体となることだ。
精神統一してアプローチ。

青空にこんなにも合う生物は果たしてこの世に存在するのだろうか?
あぁぁ あらためてバッタに惚れるわ。
カッコよすぎだろ。
どうしたのバッタ?
問い詰めても問い詰めてもかっこいいわぁ。


もうね、みんなもバッタにウットリしたらいいよ。



トンボも休憩中






今回は、特別に普段お世話になっている皆様へバッタからのメッセージを頂戴してきております。



今年もまだまだ暑いかと思いますが、どうぞ健やかにお過ごしください。






後編へ続く。