共同生活

同じゲストハウスにベルギー人の学生のフランソワーが住んでいる。

夜はほとんど自炊しているのだが、彼のご飯も一緒に作っていた。
最初は彼が慣れていないこともあって面倒を見ていたのだが、数週間経ってセットアップできても一向に彼は自分に料理を作ってくれない。



彼は人参2本を自分に渡して、


「今日の晩御飯はシェアしよう」


と提案してくれる。


自分の考えるシェアとかけ離れているのだが・・・
シェアってもっとこう二人三脚的なものでないの?


料理作ってもうんともすんとも言わずもくもくと食べるだけ。
旦那がご飯食べても美味しいも何も言わなくていやんなっちゃうという結婚生活3年目の若奥様の愚痴を思い出した。

いつなったらベルギー料理を作ってくれるのかとずっと待っていた。
そしてその日がとうとうやってきた。


「今日は僕が料理を作るよ」


おぉぉ フライドポテトとカレーを作ってくれるそうだ。
イモの皮むきを手伝う。
なるほど。 大量に購入したイモが腐り始めたから消耗したかったとみた。


鍋に油を投入し、そこに塩を入れ、ふたをして加熱し始めた。
へぇ〜 これがベルギー流なのか。
白木屋でバイトしていた時は180℃に保った油でポテトを揚げまくっていたので、違う流儀に関心がある。


しかし、どうやって油の温度をはかるのだろうか。
20〜30分くらい経っただろうか。
彼がようやく鍋のフタをあけたら、いきなり引火した。





あわてふためくフランソワーしり目に、カメラをとってきて撮影する自分。
ブログのためにいつもネタを探すようになってきた。




煙がひどい。



とりあえず、火を消して、ふたをして外に逃げる。





外に出て月を眺める。
あぁ キレイだなぁ。
お腹すいたなぁ


ちょっと様子を見てくると言い、彼はまた中に戻っていったと思ったら、
煮えたぎる油が入った鍋を運んできた。


「ちょっと捨ててくるよ」


いやいやいやいやいや。
あぶねーっつーに。



焼けた油の恐ろしさを知らないらしい。
バイト中に何回も火傷した。
豚キムチを作ろうとして、豚バラを投入したら、油が手の甲に跳ね返り、ヒドイ火傷をしたことがあり、未だに跡がある。



彼は、
「大丈夫さ」
と言い残し、暗闇に消えていった。


そして、また料理再開。
今度は、洗った鍋に水滴をふかずに油を投入し、フタをせずに火にかける。


えぇ 何が起こるか予想できますよ。
鍋から離れる自分。


そして、暴れ狂う鍋の油。


慌ててイモを投入する彼。

大丈夫?と聞くと
「こんなのスーパーイージーさ」

と返ってきた。




ねぇねぇ
どの口が、どの口が言ったの?

とはいえ、揚げたてのイモを楽しみにしていた。
店で買ってきても、みんなくたっとなっているのでひさしぶりにカリッとしたフライドポテトを食べたかった。


イモが揚がり終わり、次はカレーを作り始めた。
カレーっつってもヤギ肉にカレー粉をまぶして焼くだけ。
野菜使うんだろうなとあらかじめ切っておいたのが無駄になってしまったので、
野菜炒めにした。


完成品。

イモがしんなりしてしまっていた。
料理始めてから2時間経過。


共同生活は、いろいろと文化の違いがあるので難しいなぁとしみじみ思う。