すべての道はローマに通ず

All roads lead to Rome.
意味:目的までの手段や方法は、何通りもあることのたとえ。


私はこれまでに数十万個のサバクトビバッタの卵を数えてきました。
ときに解剖し、
ときに脚の長さを測定してきました。

そのような研究活動の行く末もローマだったとは誰が想像したでしょうか。





第40回サバクトビバッタ会議
ローマのFAOの本部で開催されました。

FAO(国際連合食料農業機関)


(FAOのビルは8階建て)


FAOは世界中のみんなが安全に安定して食事をすることができるようにがんばっている機関で、
あらゆる分野で活動しているそうです。



6人に1人がご飯を満足に食べられないそうな。



このサバクトビバッタ会議には、
1.サバクトビバッタの被害国
2.資金援助するドナー
3.サバクトビバッタ問題を統括するFAO


が参加し、サバクトビバッタの防除をいかにして運営していくかについて議論する世界で最も大きなサバクトビバッタ関係者の首脳会談です。
2,3年に一度開催されます。


様々な国から参加者が集まるという事で同時通訳が準備されておりました。

(奥のガラス張りの後ろに通訳の方達が待機)

会議では、前回の会議からのバッタ防除の取り組みや現在の発生状況の報告、今後の見通しなどが報告されました。







今回、私がとくに勉強してきたものは、

「Political Ecolotgy (政治的生態学)」

支援がどのように行われるのか、
その支援金がどう使われるのか、
誰がどのように活動するのか、

などといった政治的な議題が数多くありました。


グラフの縦軸が「未払い金の進化」だったり、普段の会議とはまったく異なっていました。


政治的な問題が大きくかかわり、その予算運営システムはものすごく複雑。


FAOが統括していて、現在の発生状況や今後の見通し、各国の取り組みについて報告すると、

「群れじゃなくて、ただのグループだ」
とその国の代表者から反論がありました。
ほぼ同じ意味なのですが、どうやら「群れ」のほうが「グループ」よりも大発生を意味するので、防除がうまくいっていないことを指摘され感に触ったようです。


また、とある国ではバッタの大発生を許してしまったわけなのですが、
「私たちだって、治安が不安定な中、最善を尽くしてやったんだ。防除隊の努力を認めてほしい」
と訴えたり。


言葉選びも非常に重要でした。





私はモーリタニアの一団として参加し、ババ所長が自分の事を、



「日本からサムライが研究しに来て、すでに活躍している」


とだいぶ誇張して紹介してくださいました。



2年で5億円もの運営予算が使われていて、大勢の人々が頭を抱えておりました。



自分はただバッタ研究が好きだからやりたいだけだったんだけど、
自分の研究成果が求められていた新しいバッタ防除法の開発に通ずるとしたら、その貢献度は小さくはないと実感しました。



小僧が生意気言って申し訳ないすけど、
人類が今まで誰も解決できなかったサバクトビバッタ問題を私が解決できる可能性はゼロではないんすよ。
研究をするかぎり。



FAOの方も他の国々の代表者も自分と日本に期待するものは大きかったです。
資金援助は他の国にもできるけど、学術的な支援はどこの国も同じようにはできないと強く感じました。




そして、今回の会議に参加して、サバクトビバッタ問題を日本に紹介するのが自分の一つの使命と捉えました。
自分の武器が何か、そしてバッタを研究することの意味について改めて深く考え直しました。






次回は現在のサバクトビバッタの発生状況についてレポートいたします。