バッタ注意報

サバクトビバッタの成虫

(2011年 モーリタニアサハラ砂漠にて:撮影者、男前なハカセ


まぁ この写真は誰でもバッタだって冷静に理解できるじゃないですか。






したら、これは?



サバクトビバッタの幼虫の集団

(2011年 モーリタニアサハラ砂漠にて:撮影者、知的(恥的)なハカセ


この黄色いの全部サバクトビバッタの幼虫ッスよ。
CGとかでないし、意図的に一カ所にバッタを放したわけでないッスよ。
自然のままッスよ。

どこのハカセが撮影したかは本人の意向でふせますが。





サバクトビバッタの被害を受ける各国は二週間置きに自国の発生状況をFAOのバッタチームに報告し、
それらをまとめてFAOのサバクトビバッタ情報サービス(Desert Locust Information Service、通称DLIS)は毎月1回、最新のサバクトビバッタの発生状況を報告しています。


それは天気予報さながらの
バッタ注意報


私がモーリタニアサバクトビバッタがいなくなってしまったとブログで言っているのですが、アフリカは広いのです。
どこかしらでサバクトビバッタが暴れている可能性があります。



今回は、最新情報をこちらでも報告いたします。





6月8日にバッタ予報を担当しているKeith Cressman博士によって発表されたバッタ注意報

緑:通常のバッタの発生状況の調査が必要な地域。農作物への被害の心配はない。
黄色:警戒が必要な地域。防除が必要とされ、農作物への被害が起こる可能性がある。
オレンジ:調査と防除が必要。農作物への被害がある。
赤:強度の調査と防除が必要。深刻な農作物への被害がある。


発生状況が色を変えて国別で表示されます。
アフリカの中央部でサバクトビバッタの発生が報告されております。





発生地域のさらに詳しい情報はこちらになります。



青:性成熟した巨大な群れ(卵を産んでいるため、個体数が増加する)
赤:未成熟な巨大な群れ(卵をまだ産み始めていない)
紫:未成熟な群れ(卵をまだ産み始めてはいない)


『解説』
現在リビアおよびアルジェリア国境付近で発生したサバクトビバッタは治安の問題で現地での情報収集や対応が遅れたこともあり、群れが大きくなり、すでに近隣諸国のマリや二ジュールに一部の群れが到達しています。

さらに侵入先のニジェール、マリの北部では例年に比べて6週間早く降雨があったためエサとなる植物などが生い茂るなどの発育や繁殖に必要な好条件が揃っているためさらにサバクトビバッタの勢力は拡大されることが予想され、大変危険な状態です。

しかも、現在、マリは治安が不安定なため情報収集及び防除の遅れが懸念されており、今後さらなる被害の拡大が予測されております。



ところで、マリの隣国をご存知でしょうか?







モーリタニア


会議中にマリの代表が、
「先日、北の村で空が覆い隠されるほど大きなサバクトビバッタの群れが侵入してきた」
と発言し、騒然となりました。


「ちゃんと言えよ!!」
と私の研究所の所長が怒り、3分後には自国の調査チームをすぐさま北部に派遣する指令を出し、次の日には皆の前ですでに対応していると報告するフットワークの軽さ。
しびれます。
 


そして、たった今、最新の情報がアップされました。


モーリタニア警戒区域にとうとう入りました。
(一番左の黄色くなってる国ね)



バッタが発生したら一刻の猶予も許されない。
風のごとき対応が望まれます。



先日、モーリタニアは25000ℓの殺虫剤をリビアに支援しました。
近隣諸国に比べ、明らかにモーリタニアは財政的に厳しいのですが、サバクトビバッタ問題となると話は別です。

モーリタニアのバッタ研究所はアフリカの雄として、牽引しており誇らしい限りです。


この会議中にFAOで勤務している日本人の方を紹介していただき、協力を仰いできました。
その方も秋田出身でびっくり。


「世界では、どれだけ積極的にクリエイティブな仕事をしていくかで物事の進み具合が決まってきます」


と貴重なアドバイスを頂戴しました。


私は、本当は焼き鳥はタレが好きなんだけど、みんなの顔色伺って塩を頼んでしまうくらいの引っ込み思案な性格です。
研究生活もこれから先どうやっていこうか悩んでいた時に最高のアドバイスをいただけました。


ふっきれたので動きます。



追伸:

こちらのLocust Watchにて最新のサバクトビバッタ情報が公表されております。

http://www.fao.org/ag/locusts/en/info/info/index.html