聖地巡礼:ファーブルの家に行く 後編

男が見た物。
それはファーブルの屋敷だった。
(あたりまえか!)



博物館とファーブルの屋敷の両方を見学できるチケットを購入し、お邪魔しました。



おぉぉぉ

やたら標本。
(ファーブルのコレクションではありません。彼のコレクションはパリの博物館に保存されております)




お部屋

めちゃゴージャス。
後で備品を足したのかもしれないけれど、大本がすごい。




実験に使っていたと思われるファーブルの七つ道具がいっぱい並んでました。





ファーブルは昆虫学者として有名なのですが、もう一つ特技がありまして、
ファーブルはキノコの絵を書くのが上手だったそうです。



うん。上手とか言うレベルでないでしょ。



展示室には色んな言語に訳されたファーブル昆虫記が置かれていました。

日本語のファーブル昆虫記。


本当に世界中の人々から愛されている昆虫学者なんだなぁとしみじみ思いました。



愛情表現もさまざま。



真横から見てはいけません。






このお部屋にも入ったけど、写真は撮ってはダメだそうです。
部屋中くまなく撮影した後で係員のおばさんに怒られました。
部屋の天井にカメラが設置されていて、私は貴方の行為の一部始終を見ていたんだからね、と問い詰められました。


おばさんが部屋に入って来ても私は悪びれることなく正々堂々と撮影していました。
なぜなら、他の係員さんがフラッシュなしだったら写真撮ってもいいって言ってたから。

事情を説明しても、


「ノォォォォォ」
の一点張り。


真相はわかりませんが、今後もここの部屋に訪れる人のためにブログには載せないッス。
来る人の楽しみをとっては悪いので。うふふ。


ちょうどドイツからトビムシの研究してて退官なされた方もいらしてました。

お互いにファーブルが座っていたイスに座って撮影大会。



ファーブルは自分の庭を「アマス:荒れ果てた大地」と嘆いていました。
いやいや、ファーブルさん。あのー サハラ砂漠ってご存知でしたか?


そんな庭を散策。
庭っていうか、森やん。




何かいるし。


動物虐待してみるし。




噴水まで・・・。





再び、建物の中に入ると、訪問者が一言書き綴る日記帳が置いてありました。
ペラペラとめくると、半分以上が日本人でした。

やはりファーブルの日本での知名度は高いことを物語っていました。




せっかくの記念なので、私も久しぶりの日本語で








さ、準備が整いましたので、ようやく告知いたします。


この度、東海大学出版会より、


      フィールドの生物学シリーズ9
      孤独なバッタが群れるとき 
サバクトビバッタの相変異と大発生―
著者:前野ウルド浩太郎


というサバクトビバッタ丸出しの書籍を11月20日に出版することになりました。
今年に入ってからずっとブログの更新がぼこぼこだったのは、全精力を本書に捧げていたからです。


最近のフィールドの生物学シリーズとしては
タツムリとヘビの細将貴氏

右利きのヘビ仮説―追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化 (フィールドの生物学)

右利きのヘビ仮説―追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化 (フィールドの生物学)



アリと好蟻性昆虫の丸山宗利氏

アリの巣をめぐる冒険―未踏の調査地は足下に (フィールドの生物学)

アリの巣をめぐる冒険―未踏の調査地は足下に (フィールドの生物学)

があり、飛ぶ鳥をはたきおとす勢いとの評判です。




本書に綴っておりますが、もともと私は小学生の時に読んだファーブル昆虫記に胸打たれ、ファーブルに憧れて昆虫学者になろうと決めました。



今回、自分の昆虫記を出すということで、どうしてもファーブルに直接報告したかったんです。ファーブル昆虫記に感動した小学生だった自分が、大人になって自分の昆虫記を出せれることに。これには小学生だった自分も大喜びしてくれることでしょう。





今回のファーブルの屋敷を訪問した最大の理由は、我々の原稿にファーブルの息吹を吹き込みたかったからです。


ということで、先ほどビール飲みながらチェックした原稿を、、、


ファーブル先生に捧げました。

10分くらい、この光景をうっとりと眺めてました。
ちょっとその場を離れられなかったです。



これをするためだけに本当は来たのですが、たまたま家も見学できて申し分なし。




そして、最後のミッション。


この原稿をその日のうちに、プロヴァンスを訪れた東海大学出版会の編集者の田志口さんにアヴィニョンで待ち合わせし、手渡しいたしました。


モーリタニアで原稿を書いて、ファーブルの土地で最終打ち合わせをしたこの原稿には我々の特別な想いが込められています。
アフリカで本を書いて、編集者さんと打ち合わせしてみ。ものすごい田志口さんにご迷惑をおかけいたしました。








昨年から大干ばつに襲われ、モーリタニアからサバクトビバッタがいなくなった時にはへこんだものの、きっと神様が本を書くための時間をくれたのだなと思って書き始めました。


そして、本が出来上がると同時に、またモーリタニアサバクトビバッタが戻ってきました。


正直言うと、自分も研究者のはしくれなので、このブログでサバクトビバッタのことや自分がどんな研究してきたのかとかいっぱい自慢したかったのですが、1年半、ぐっとこらえてその想いの全てをこの本に凝縮させました。


虫嫌いの人がトラウマになるレベルのえげつない本に仕上がるように全力を尽くしました。


卒業論文修士論文、博士論文を昆虫学者になるための節目に書いてきたのですが、
今回の本がポスドク論文となって、ポスドクを卒業できればと思います。
(えぇ 来年4月から無収入ですが何か?)



11月に帰国する時には、全国の書店に自分の本が陳列されている予定です。
めちゃめちゃ嬉しいッスよ。



うまくいくとメレ山メレ子さんの「昆虫大学」にて初売りセールです。
http://d.hatena.ne.jp/mereco/
(メレ子嬢の人気に便乗しちゃうぜ!!! いやらしくてごめんなさいババ)

17,18日に向けてサインの練習を始めます。