新刊紹介
竹田先生たちが先日、本を出版なされたので、宣伝をしたいと思います。
東海大学出版の稲さんからメーリングリストで流されたものをこちらでも使用させていただきました。
【書名】生態進化発生学 エコ・エボ・デボの夜明け(オールカラー)
スコット・ギルバートとデイビッド・イーペル著
(正木・竹田・田中 訳)
本書は生物学、特に進化と発生学分野におけるエポックメイキングな名著です。2009年の雑誌Natureにエール大学のS.C. Stearns教授がよせた書評では、「もっとも美しくもっともすばら しい永遠のしらべ」と賞賛され、世界的に話題となりました。この本は、環境が生物の発生と進化に及ぼす過程をテーマにしたもので、分子生物学、エピジェネティックス学、発生学、環境保全、進化生態学そして医学の分野を統合し、新たな生物学の流れを示そうとした野心作とも言えます。さまざまなゲノムプロジェクトがすでに終わり、「ゲノムが生命の本」でもなく、「個体が単にゲノムを運ぶ乗り物だ」という比喩も誤りだったことに、科学者は気づきました。そして世界では過去十年、エピジェネティックス研究が盛んになりました。最近の分子生物学の発展は、生物学に革命をもたらしました。しかし一方では、哲学の欠如、技術革新に乗じて安易に作られた医薬品や食品添加物の蔓延、進化生態学を軽視した環境保全が、今やこの地球と人類の将来をも脅かしている、と著者らはうったえています。
さまざまな分野の方々に、是非一読していただきたいと願い、日本語の翻訳版を早急に出版することにいたしました。ゼミなどでも使っていただき、学生やポスドクの方々にも勧めていただければ幸いです。教科書または専門書というより読み物として、生物学の一般的知識があれば十分理解できるよう、工夫されています。
【原著】Ecological Developmental Biology;
Integrating Epigenetics, Medicine, and Evolution
【著者】Scott F. Gilbert and David Epel
【訳者】正木進三・竹田真木生・田中誠二
【体裁】B5判 450頁 上製 印刷カバー
【定価】6090円(税込)
【発行】東海大学出版会 http://www.press.tokai.ac.jp
【発売日】2012年2月20日(2月10日より発送開始)
【ISBN】978-4-486-01859-9
【内容】
・エコ-エボ-デボの生物学
目次
第1部 環境要因と正常な発生
第1章 環境要因と正常な表現型
第2章 発生過程における分子的な変化:環境要因の影響
第3章 発生と共生:生存戦略としての共発生
第4章 胚の防御機構:きびしい世界での生存
第2部 生態発生学と病気の現状
第5章 奇形の形成:環境による発生への衝撃
第6章 内分泌撹乱要因
第7章 成人病のエピジェネティックな成因
第3部 発生と進化の総合をめざして
第8章 現代の総合説:対立遺伝子にかかる自然選択
第9章 発生調節遺伝子を通しての進化
第10章 環境,発生そして進化:新たな総合をめざして
終 章 エコ−デボ生物学が提起する哲学上の問題
補遺A ルイセンコ,カンマラー,そして生態発生学の伝統の断絶
補遺B エピジェネティックな変化の分子的機構
補遺C 発生を現代の総合説から書き起こす
補遺D エピジェネティックな遺伝のシステム:
環境に誘導される形質の遺伝
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どうですか。このウキウキと心躍るラインナップ。
私も原著を持っており、一部しか読んでいなかったので、訳本を読むのが楽しみです。
訳者の御三方は私の出身の弘前大学昆虫学研究室の大先生と大先輩です。
その当時、正木教授を慕って、竹田先生と田中誠二さんが研究室の門を叩いたそうです。
田中誠二さんは私の師匠です。
私はまだ訳本を読んでいないのですが、訳者の顔ぶれから想像するに本書はただ英語を機械的に日本語に訳し、文字の羅列を綴った本とは違い、美しい日本語に姿を変え、それは芸術の域に達した書物になっているだろうと予想しております。
さらに、一部最新の情報も追加されております。なぜ訳本を読んでいないのに知っているかと言うと日本に居た時に、目の前で誠二さんが作業をしていたからです。
私のバッタの研究内容も本書にて紹介されております。
竹田先生からは、この書には訳者からのメッセージを込めているとの旨を伺っており今から読むのが楽しみです。
私も注文し、実家に届いております。先ほど実家とスカイプをして、表紙を見せてもらいましたが、そのままTシャツにプリントアウトして着たいくらいかっこいいものでした。
原著と訳本の二冊を読み比べ、英語の勉強をするのも楽しみです。
奇しくも自分と同じ誕生日に出版された本にかける期待は止まることを知りません。
早く、この手にとって読み進めたいです。
日本の皆様は今日にもこの本を手に取ることができること羨ましく思います。