次の一手:骨組み


皆様にケージ問題で心配かけてしまったが、実は、次の一手を打っていた。



巨大ケージの金網に小さい穴が空いたのを見つけた瞬間、こりゃダメだと。
速攻で見切りをつけた。


そして、金網だけではなく、ケージ自体の問題点に気づいた。
■解体しないと移動できない。
一度セットしてしまうとその重量から移動不可能。溶接部分を電ノコで切るしかない。そして、長距離移動するにはトラックが必要となってしまう。

■ケージを作るのに人の手を借りるしか準備できない
ジブリに頼むしか術がなく、人件費がかさむ。

■高額な材料
■準備に時間がかかる。
■サイズの変更がきかない


このころ、研究所の敷地ではなく、本当のバッタの生息地にケージを設置することができたら、きっと色んなことができるだろうと考えていた。


もっと早く、安く、簡単に、誰にでも、いつでも準備でき、どこにでもセットできる新しいケージが欲しい。
しかも、砂漠という過酷な環境に負けない耐久性を兼ね備え、用途に合わせてサイズを変えれるような柔軟性に富んだものが望ましい。
そんな夢のようなケージが果たしてあるのだろうか。



答えは簡単。


無かったら作ればいいだけの話だ。


今まで自分は女子のワガママをかなえてあげるのが男子の生業と心に刻み生きてきた。今度は、自分のワガママをかなえる番だ。


まずは、どんな材料がモーリタニアにはあるのか、市場調査を開始。
スーパー、金具屋、工事屋、電気屋、服屋、銀行、郵便局、屋台、お土産屋、レストランなど目に映るものすべてがケージの材料に見える。


衝撃のモーリタニアの段ボール屋さん。

(雨が降ってきたときの慌てっぷりを見てみたい)



ロープ屋さん

(ロープのみ販売中。ロープの販売に命をかけた男たち。)




金具屋では写真を撮らせてもらい、どんな部品があるのか記録しておいた。






日本だったらまっさきに木材を使おうとするところだが、モーリタニアでは木材は高価で、
しかも残念なことに当たり外れが多いらしい。

ざらしにしているから劣化も早いのだろう。

モーリタニアの木材屋さん。突き抜けています。)


同じ質を大量にそろえるのは難しそうだ。



色々試す前に、骨組みには水道に使うパイプを使うことに決めた。


半年以上も屋上で野ざらしにされているが、劣化していないパイプ。



安価、加工しやすい、在庫が大量にある、軽い、比較的質が安定しているというメリットがある。サイズも多種多様だ。



しかも、組み合わせ次第でサイズや形も無限大の可能性を秘めている。













大量搬送もなんの問題もなくクリアできる。






さっそく設計にとりかかる。
ケージの骨組みはただ立っていればいいというわけではない。
網が受けた風による負荷がかなりかかるので、それに耐えうるものでなければならない。


そこで、数値流体力学に基づき、ケージの形状及び材質から圧力が特にかかる部位を特定。
頑丈な個所になるべく負荷がかかるようにするために、パイプの長さと組み合わせ方を変え、最も好ましい比を算出。


さらに補強物を用いて耐久性を付加的に向上させるように設計した。

耐久性をシュミレーションしようにも、フィールドにおける環境的諸問題を把握できていない。
そのため、実際にケージ一式をフィールドに搬送し、耐久実験を重ね、問題点をあぶり出した。


時間を節約するために、考え得る材料及び工作道具を同時に持っていき、その場で修正して、改良を重ねた。


先日のライトトラップのライトは、虫を集める一方で、ケージ作りのための光源としても活躍していたのだ。







3号機で目的とするケージに辿り着いた。

(写真は初号機。)



頑丈さを手っ取り早く求めるにはパイプの数を増やして連結部位を増やせばいいのだが、複雑にすると組み立てが大変になるため、パイプの長さは2種類だけにし、数もできる限り減らし簡単設計を追求した。

その結果、今のモデルでは3分あれば、一人で組み立てられる。



お次は網問題だ。
(若干、写真に網が写っているが、次回に引っ張りたいので知らないことにしておいてください。)








弱者は敗北あるのみ。





巨大ケージには二軍行きを通告した。


研究の世界はシビアな実力社会なのだ。