自分の夢をかなえるために

自分と面識の無い方も大勢このブログを訪れていただけるようになってきました。
各方面に宣伝してくださった方々、どうもありがとうございます。


私事で大変恐縮なのですが、自分の夢を恥ずかしがりながら語ってもよいでしょうか。





自分の夢は昆虫学者になって、虫にかんする新発見をすることです。





現在自分は、日本学術振興会海外特別研究員という制度を利用してモーリタニアに赴任しています。任期は二年間です。

早い話が、博士にはなったけどきちんと就職はできていないのです。
ポスドクと呼ばれる立場で修行中の身です。

自分の意味する「昆虫学者」は昆虫の研究ができる仕事に就職することで、現在求職中なので「昆虫学者の卵」です。


研究職のポストは少なく、熾烈な競争が繰り広げられています。

自分もこの競争の渦中におり、大勢のライバルと闘ってポストを獲得せねばならない状況です。

ポストを獲得するのに、必要なものは何か。




それは論文です。

論文は学術専門誌に掲載されるのですが、各雑誌には約0〜30点ポイントがついています。
例えば、とある雑誌は5点、とある雑誌は25点といった具合です。
研究者は、それまでに発表してきた論文の合計ポイントで客観的に評価されています。


レベルが高い雑誌=ポイントが高い、という場合が多いです。

また、論文が他の論文から引用された数も考慮されています。


論文は、新発見を報告する場であり、研究者達の様々な思いが込められています。




「Publish or Perish(出版せよ、さもなくば消えよ)」

これは研究者が抱えるプレッシャーを韻をふんで表現した格言です。
小学校の野球グランドに掲げられていた
「闘志無き者は去れ」に近いものがあります。


良いものを作るには時間がかかるのですが、研究者達はせかされているのが現状です。


自分に許された任期は2年間。その間に成果を出さなければならないのです。
論文を出したからといって就職が確実に決まるわけではないのですが、
論文を出さなければ、確実に路頭に迷う運命に置かれています。

2年後の予定はまったくありません。

実は、片道切符でアフリカに来ています。




自分は、豪快に悪ふざけをしているのですが、アフリカに遊びに来たわけではありません。
自分探しの旅に来たわけでもないのです。


今後の研究者人生をかけて、勝負しに来たのです。



アフリカを選んだのには二つ理由があります。
一つは、野生のサバクトビバッタを研究したかったこと。


そして、もう一つは、自分にとってアフリカが地球上で最も業績を積みあげることが可能な場所だと考えて来たのです。


ハイテクな設備が整った研究機関ではなく、サハラ砂漠でこそ自分の研究者としてのパフォーマンスが最大限に発揮できるのではないかと考えたのです。

これは自分の研究スタイルがローテクだからこそ成せる業だと考えています。
「ものさし、顕微鏡、天秤」
これが私の研究に必要な三種の神器です。


そして、この武器を生かして新発見するために必要なものはアイデアです。


「研究はアイデア勝負」
これは我が弘前大学昆虫学研究室に代々伝わる格言です。


自分の中に流れる弘大昆虫研の血がいつも勇気づけてくれています。
そして、この格言をサハラ砂漠で実証したいと考えています。



まだ何も論文を出していないのにこのような大それたことを書くのは賭けです。
たるんできた自分を奮い立たせるためにここで発破をかけます。

手ブラで日本に帰ることになったら、ダッセーと笑ってください。



新発見をして論文を出さなければ、研究者としての道が絶たれる厳しい状況なのですが、

今置かれている状況は小さいころから夢みてきた、「虫にかんする新発見をすること」を叶える絶好のチャンスでもあるのです。


研究者を目指す自分にとって、今が正念場であり、もっともエキサイティングな毎日でスーパー楽しいです。
野外調査では、噛まれたり、刺されたりしたらいけない生物たちがうごめく中で、リスク背負ってやっています。

本気で命かけて虫の研究しています(31歳/ポスドク)。



自分が昆虫学者を語るにはまだまだ早いのですが、
多くの昆虫学者は、色んな物を捨ててまで知的探求に挑んでいるのです。
私はそんな彼らを尊敬し、憧れています。



残念なことに、このブログは研究業績にはカウントされません。
このブログに時間を割くことは、自分で自分の首を絞める行為なのです。


正直、ブログを書くときは、「自分はこんなことをしている場合ではない」といつも悩みます。

ただ、ブログで頭の悪い記事を書くのは楽しく、気分転換になるし、その後は集中して仕事ができるので間接的に研究活動の役に立っていると感じています。


時間をあまり割けないのが心苦しいところなのですが、自分が体験したことを少しでもみなさまにお裾分けできていけたらいいなと考えています。


そして、みなさまからの励ましの効果は大きいです。

この後、どんな展開で研究が進んでいくのか自分でも楽しみです。



最後に研究者の論文に対する思いを歌って本日は絞めたいと思います。



「論文」 作詞殺曲 ハカセ

論文 それは君が見た光 僕が見た希望
論文 それはふれあいの心 幸せの青い雲




ヤローワーク


PS
今回は、初めて、ですます調で記述してみました。
とても書きにくかったです。