博士のジェスチャー

会議は全てフランス語。私はチンプンカンプン。
いつもならスライドの写真でなんとなく言ってることが分かるのだが、今回は文字や数式だらけで全然フォローできない。



ただ、発表の内容がわからないのだけど、人々の熱心さは伝わってきた。


なぜなら、発表者がジェスチャーを使っているからだ。


研究者は発表時に特殊なジェスチャーを交えることで己のプレゼンテーションの精度を高めようとする。


ジェスチャーは瞬時にして相手に自分が言いたいことが伝わる便利な機能を持つからだ。



自分も寝る前には必ずジェスチャーの素振りをしたものだ。
今でも暇があれば、「はたしてこれは一体どうなっているのか?」や「この結果がこちらになります」などとシーンに合わせてジェスチャーを繰り出すシャドープレゼンテーションを鏡の前でしている。

学会発表時に、何気なく、さりげなく繰り出しているジェスチャーは、実はこだわりの角度とタイミングで繰り出していたのだよ。

訛りのせいで台無しになっていることはうすうす知っているが・・・


自分は日本国内で使われているジェスチャーしか見たことがない。外国のジェスチャーは一体どうなっているのだろうか?

はたしてジェスチャーも万国共通なのだろうか?
(もちろん今も繰り出しましたよ)


発表内容がわからない今、自分の興味はジェスチャーへと移行してしまった。





観察を開始して、すぐに面白いことに気づいた。
質問する時に挙手をするのは同じなのだが、みんな握り拳をつくり、人差し指だけを突出し、顔の前あたりまで挙げるのだ。


ちょうど甲子園で優勝した瞬間に高校球児がマウンド上で繰り出すのと同じやつ。


「パー」の状態で頭上に高らかに挙げるのではないんだね。
そして、なかなか当ててくれなくてじれてくると、指パッチンをしてアピールしていた。




なるほど。ちがうもんだね。


他にもいくつか観察したのだけど、何をしゃべっているのかわからないため何のジェスチャーか残念ながら特定できなかった。


そこで、ここでは確実に誤っているであろう解釈でいくつか紹介したい。



実体験を語るためのジェスチャー

「あのね、あのズシリとした触感が、ね。良かったんですよぉ」



知恵を絞り出すジェスチャー
「んっとねぇ、えっとねぇ」

一休さんスタイルがアフリカにもあった。





ドラゴンボール的なジェスチャー

天津飯気功砲ぉぅぅぅぅぅ」



鶴仙人「ぐはぁぁぁぁ」


何の役に立つかは不明。



ふむふむ。バラエティに富んだジェスチャーの数々。







お馴染みのジェスチャーのおかげで、みんなが釣りの話を会議中にしてるのが分かった。



「オレさぁ こないだこんくらいのタイ釣ったんだぁ」


「オレのはもうちょっと大きかったな」


「僕はこれくらいさ」






「おたくはどうでした?」


「おまいらちっちぇ〜よ。オレなんかこんくらいだぜ!」



「いや、やっぱオレのはこれくらいだったかな」



「オマエ、さっきとちゃうやん」



「ぢゃあ、オレのはこれくらいー」



「へぇ〜 ずいぶんと大きなタイですね」


左の人「あの〜 タイのMaxってこんなもんなんですけど・・・」

右の人「ウッフン」


いやいや、やっぱ釣りは男を熱くしてついつい盛ってしまうんだろうな。
自分も餞別で釣り道具を友人の粥川氏から頂戴したのだが、全然海に行けてない。スマン。




まぁ 正直に言うとこのジェスチャーは、幅が大きいほど物事の重要性が高いことを意味するジェスチャーです。
発表の前半でいきなり目いっぱい手を広げてしまうとそれ以上高い重要性を示すことができなくなるので、発表の前半は控えめに広げておくのがコツです。

あと、やりすぎも注意。多発は禁物。ここぞというときに!


会議に参加した方々の熱弁が伝わったかと思います。


言葉は分からずとも吸収すべきものは沢山あるもんだなぁと実感した実のある会議だった。


是非、実演してください。




P.S.


今回は人様の写真を乱用したため、不謹慎だと思われる方が少なからずいるかと思う。

今回登場していただいた方々に向けて、声高らかに、ごめんなサイババ



おあいこということで自分も辱めを被りたい。



普通のスーツ姿をさらけだします




価値観がズレているので、自分にとっては普通な姿がこの上なく恥ずかしいのです。







PS2
バスの中でも釣り自慢が繰り広げられていました。