今度は研究所内で年に一回の大会議が開かれている。
庭の水やり係から、お茶係り、ドライバーからマネージャまで一同勢揃いし、無礼講でお互いのダメ出しをして、より素晴らしい研究所をつくっていこうという主旨らしい。
最初だけ参加したのだが、白熱の議論が交わされていた。
言いたいことを言いあえるので、とてもいいシステムだと思う。
ティジャニにドライバー事情を聞いたら、この研究所には30人のドライバーがいるのだが、まともに働いているのはティジャニを含めて3人だけだそうだ。
残りの27人は朝出勤して30分だけ研究所にいて、その後はこっそりと街に繰り出し、タクシーをして小金を稼いでいるらしい。もちろんダメな行為らしいのだが。
所長のババさんが、長年の信頼と確かな実績のあるティジャニを自分の専属ドライバーにしてくれたのだ。
街をティジャニとドライブしていると、
「クソッ あいつまたタクシーしやがって」
と研究所のドライバーがタクってるのを度々みかける。
モーリタニアにはタクシーの他に、誰でもタクシーやれるのだ。
いわゆる白タクだらけ。
街中までいくには100ウギア(約30円)
それよりも遠くに行くには300ウギア(約100円)
(普通のTAXI:前に3人、後ろに4人。モーリタニアン男子は密着好きだ。ぜひ加わりたい。)
乗り合いで行くので素晴らしいエコシステムだと思う。
コイツを、上下に揺らしていると乗せてくれるぜ。
普通に道端にボーっと立ってだけでも、クラクションを鳴らしながら近寄ってきて、
「乗らないか?」
と誘われる。
働いても働らかなくても給料は一緒。当然ティジャニは不満がある。
少数精鋭にすればいいのだろうが、バッタがあっちこっちで大発生したらあっとうまにドライバーが足りなくなってしまうので、常に大量の人員を確保しなければいけないのがバッタ防除が抱える大きな課題の一つだ。
社員教育も一つの問題。
去年あったドライバーの問題の一つとして、職員が用事で首都から300km離れた街にミッションに行き、
会議があるのですぐに首都に戻ってこなければならなかったのだが、ドライバーが、
「オレ、コカ飲みたい」
(注:こちらではコカコーラのことをコカと呼ぶのだ)
と言い、コカを買おうとしたら、なかなか売っておらず、あっちこっち探し始めたそうな。
時間が無いから早く首都に戻るように職員が依頼すると、
「オレにはコカが必要なんだよ」
と若者らしい主張をし、車を降りて、コカと自分探しに行ってしまったそうな。
けっきょく職員が自分で車を運転して戻ってきたそうな。
(ドライバーは置いてきたそうな)
今回は、責任問題も重要な話題の一つに上がっているそうだ。
そして、1人、伝説のドライバーがいるそうだ。
彼は運転のある意味スペシャリストで、
彼が運転すると必ず車をボコボコにぶつけて帰ってくるそうだ。
自分のチームにはそんなデストロイヤーを加えるのはちょっと遠慮したい。
ところで今週からモーリタニアでは警察が交差点に立って交通整理をするようになった。
モーリタニアでは交通ルールがかなり欠如しているので、かなりやりたい放題。
ハコ乗り、ノーヘル当たり前。
逆走してくるし、定員は車に乗れるだけ乗るのが当たり前。
一車線でも路肩を追い抜いていくので、車線は∞。
信号の無い交差点を曲がる時は、クラクションを鳴らして自己アピールして曲がるのが安全。
この交通問題を打開すべく、大量の警察官が街のいたるところに導入されたのだが、
街が大渋滞に。
いつもなら15分でつく店に1時間かかった。
しかし、4日後、同じ道を通ると、20分でついた。
すさまじいスピードで改善されていた。
モーリタニアの車窓から。