「3m歩くと5匹のバッタ」後編

次の日、



昨夜の罠を見に行く。







穴の中、一面真っ黒


ただ、ただ黒い。

(ごめん。キモいとコメントもらったけど、攻めます)





どうしたの?君たち?ただのスパゲティに群がったりして?

ソースもかかってないと言うのに。

そして君たちが落ちてしまったのは、人類史上最も原始的な罠だよ?


小一時間ばかり、問い詰めたい衝動に駆られたが、
ここは大人の対応で、ぐっとこらえ乱獲しておいた。





交尾中。

かわいい一面もあることで彼らの名誉を挽回してみる。

(誰か、ゴミムシダマシの雌雄の形態的な判別の仕方知っている人いたら教えてください。見分けがつかない。)




ベットの周りの砂は彼らの足跡で埋め尽くされていた。

自分も危うく食われるところだったのか。。。



次の日はどんより。

本日は予定を変え、20km離れたバッタポイントに向かう。



窓開けて疾走してたら、何か飛んできて顔面にヒット。

性成熟しているバッタの仲間だ。
小粒でも痛い。



途中、遊牧民に尋ねると、あっちのほうで遠い昔にバッタを見たと情報をいただく。

聞いたベクトルが同じなので期待が高まる。




も、の、の、


行けども行けどもいないんすけど・・・


途中何回も立ち止まり、小さな幼虫もいないか探したけど、一向に見つかる気配無し。


またゴミムシダマシが。



無駄に木を眺めてみると、ここにも。



木の根元、

木の割れ目、



地面の穴の中にも。


明るいうちは、隠れたいんだろうな。

にしても、砂漠ゴミムシダマシパラダイスだわ。




にしても、、、、

うわー 手ブラで帰るのダセー
今なら痛いほど漁師の気持ちがわかる。。

ガッカリした妻子の顔は見たくないんだろうな。




たとえガセネタだったとしても、バッタ研究者として、なんとしてでもバッタを得ねば。



悩んだ挙句、ターゲットをサバクトビバッタから変更することに。


先日、研究所の側で、毒バッタを採集していた。

このバッタは、他の動物が食べられない毒物質を保有する植物をメインに食べるバッタなのだ。
背中に毒腺があり、そこから毒を出すらしい。
(今度また詳しく)


この植物がたくさん生えているエリアを覚えていたので、
帰りがけにそこに寄って、この毒バッタの捕獲を企てた。

ティジャニと20分歩き回って2匹捕獲できた。


なんとも効率が悪い。

近くに20人近くの子供たちが昨日の雨でできた水たまりで泳いでいる。


ここでひらめきが。

漁師は魚が採れなかった時は、市場で魚を買うと聞く。
ならばバッタも買えばいいじゃないか。





ということで、





第1回バッタ高価買取キャンペーンを実地。


子供たちに一匹100ウギア(35円)で買い取るよと告げると、一目散に散らばった。


まぁ 数匹採れたら御の字だと思ってたら、考えが甘かった。


え?もう採ってきたの?

はや。


次から次へと、捕まえてきた。



どら、記念撮影でもするべー

デカいお札しか持っておらず、誰かリーダーにまとめて払って、みんなに分担してもらえばいいやと考えていたのが、
これが大きな間違いだった。


途中からノートに捕獲者の名前を書いて、採った数を書くようにティジャニに伝えてもらったのだが、最初に何も子供たちにせずにただバッタを15匹ほどもらっていたため、その子達がすぐにお金をよこせとせびってくる。

今から、ティジャニのノートに申告するように伝えたら、チビっ子達はしたたかで、
バッタ採ってない子まで、採ったと言い張り、1匹しか採ってないのに10匹採ったと言い始める始末。
ティジャニに群がり始める。


そして、あちこちでバッタの強奪、殴り合いのケンカが始まってしまい、仲裁に走る。

弱者は敗北あるのみ。

デカい子はチビっ子から奪って笑顔で自分にバッタを持ってくる。

修羅場だ。

「このバッタはあの子のだからダメだぞ」

と教育的指導を与え、チビっ子に頭をなでながらバッタを返す。


「今度は気をつけるんだよ。」


「うん。ありがとう。お兄さん。」


的な雰囲気で、そのチビっ子は笑顔に戻り、今度は奪われないように力任せにバッタを握り潰した。



NOぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜〜〜



グッタリしてしまったバッタ。。。。


もう、色んなものに謝りたい。


あいかわらず、チビっ子が自分に群がる。
後でまとめて払うから、と説明してもらってもまったく聞き入れてもらえず、
服を引っ張られ、個別に訴えてくる。

収拾がつかなくなってきて、


あぁぁ カオスだな

としみじみ感じた。



一番年上(20歳くらい)にまとめるように依頼すると、あろうことか、彼までも採ったバッタの数をねつ造し始めた。

嘘はイカンよ。嘘は。

計算上では110匹になっていた。
自己申告された分のお金プラス、きっと足りなくなってブーブー出るだろうから、
正直者2人を責任者に抜擢して大目に渡した。



グダグダになってきたので、先に車に乗り込んだら、チビっ子達が車を取り囲み、
一斉に、


ジャッキー


ジャッキー


ジャッキー



ジャッキー

と、思い思いのジャッキーチェーンコールがかかる。


く、食われる。


恐怖を感じた。


誤魔化すために、自分がジャッキーだと嘘をつき、

「ジャッキーチェーん」と連呼し、こぶしを振りかざしながらみんなで大合唱した。



こちらに来る前に、以前アフリカで研究していた高野さんには
アフリカではブルース・リーが超有名で、リーのマネをすると大うけすると聞いていたので、
その情報が生きた。どうもありがとうございました。
命拾いしました。




リーダーたちの正当な采配に期待し、脱出。

小さいお金を大量に準備し、ぶつぶつ交換をしないといけないことを学んだ。


収穫。

あのね、バッタの数を数えたら53匹だったよ。

どこが110匹やねん。



また騙された。



でも、いいの。
いっぱいバッタ採れたから。


チビっ子達どうもありがとう。

ゴミムシダマシもちゃんと数えてないけど、1000匹近く採ってきてしまった・・・
遠慮したつもりだったのだけど、、、

こんだけ数いたら、何か実験できるでしょう。

バッタの代わりにね(やけくそ気味)