汚名にピリオドを


私は、このブログの読者の方々に今までさんざん変態扱いを受けてきました。


心外です。


しかし、私にも非があると思います。

それは私が一切科学的なことをこのブログで紹介しなかったからでしょう。


だが、そんな扱いを受けるのも今日が最後です。
そうです。


念願のウルド前野としてデヴューを果たしました。
Field Observations of the Sheltering Behavior of the Solitarious Phase of the Desert Locust, Schistocerca gregaria, with Particular Reference to Antipredator Strategies

Koutaro OULD MAENO, Cyril PIOU, Sidi OULD ELY,
Sid’Ahmed OULD MOHAMED, Mohamed EL HACEN JAAVAR,
Mohamed ABDALLAHI OULD BABAH & Satoshi NAKAMURA

http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/JARQ/Vol_index/46_04.html
(フリーで論文のPDFがダウンロードできるッスよ)


モーリタニアに渡って、一発目のミッションの野外観察が論文になりました。


こちらは、サバクトビバッタが夜にどんな草をシェルターにしているのかを調査したものです。
バッタはトゲの生えている植物に潜んでいました。

天敵から身を守る戦略をとっていると考察しました。
詳しい内容に関しては後日、違う場所にて解説いたします。



トゲ植物には大きい株や小さい株があったのですが、
今回の観察で興味深いのは、株内のバッタの密度が一定だったことです。
調査地のバッタは、低密度で発育した孤独相だったのですが、

どうやって株内の密度を調節しているか、これから実験して確かめたいッス。


こんな感じで野外観察で疑問を仕入れ、それを実験して証明する、
というスタイルで研究していきたいと考えています。


観察はあくまでも観察なので、自ら工夫を施して実験するところに研究の魅力を感じているのでここからが腕の見せ所です。




今回初めてフィールドワークの魅力に気づいたのだけど、
観察するための準備しなくていいし、後片付けしなくていいんすよ!


実験室だったらこの状況を作るために、すごい労力を割いて虫を育てて、植物を育てんといかんのがもうすでに準備されちゃってるんすよ。


自然の懐の深さに感動しました。


しかも観察に使った道具はメジャーだけというローテクっぷり。


あらかじめ研究のプランを立てて、それを実行するために最適な場所を探すとなったらなかなか大変そうなので、行き当たりばったりでその場の状況に応じてテーマを見つけてデータを採るのが限られた予算でやりくりする秘訣かしらと考えています。

2年間の計画とか立てて実験するのも好きなんだけど、ラボが使えないので。



今後は、博士らしいところをごく稀に皆様に披露していきたいと思います。
ようやく変態という肩書がとれて、ホッとしました。


ところで、
共著者に私以外にも日本人の方がいるのですが、この点については次回。